レジリエンス外来.29
天気予報で、「降水確率が80%」であることを知って、ほとんどの人が雨具を用意するように、
「5年生存率が20%」と知った私は死ぬ準備を考えます。
しかし、雨ならばいつかはやみます。
けれども、私の死後も妻や子どもたちの人生は続きます。
私は50歳で父をがんで亡くしました。
つまり、私は50歳まで父の庇護を受けていました。
しかし、私の子どもたちは、20代で父を亡くします。
母は父に看取られてなくなりましたが、
妻は私を看取らねばなりません。
私は私の死後の家族の未来を思い、彼らを支えることができないことを、とても無念に思いました。
そして私は、私の死が彼らに負担にならないようにすることを考えました。
「お父さんは、充分な治療を、受けられなかったのではないか?」
そんな疑念を残さないようにせねばならない。
そのためにも、妻の治療方針を全面的に受け容れようと思いました。
妻に残りの人生を預けることに、迷いはありませんでした。