「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.29

天気予報で、「降水確率が80%」であることを知って、ほとんどの人が雨具を用意するように、

「5年生存率が20%」と知った私は死ぬ準備を考えます。

しかし、雨ならばいつかはやみます。

けれども、私の死後も妻や子どもたちの人生は続きます。

私は50歳で父をがんで亡くしました。

つまり、私は50歳まで父の庇護を受けていました。

しかし、私の子どもたちは、20代で父を亡くします。

母は父に看取られてなくなりましたが、

妻は私を看取らねばなりません。

私は私の死後の家族の未来を思い、彼らを支えることができないことを、とても無念に思いました。

そして私は、私の死が彼らに負担にならないようにすることを考えました。

「お父さんは、充分な治療を、受けられなかったのではないか?」

そんな疑念を残さないようにせねばならない。

そのためにも、妻の治療方針を全面的に受け容れようと思いました。

妻に残りの人生を預けることに、迷いはありませんでした。

f:id:syukugami:20190827065837j:plain