レジリエンス外来.32
「戦地で生きる支えとなった 115通の恋文」
この本で描かれる「戦地」とは、
夫が戦う文字通りの「戦地」と、妻が一人で娘を育てる「戦地」の、二つの場所を示しています。
その二つの「戦場」を妻が夫に送る「恋文」が結びます。
「この本は「戦争の本」ではない」
国立がん研究センター中央病院の四人部屋の、カーテンで仕切った区画の中で、私はそう思います。
それは後に稲垣先生に 「書いて欲しいのは「がんの本」ではないのです」 と訴えた同じ思いだったのかもしれません。
稲垣麻由美さんは「命」を伝えるために言葉を紡ぐ文筆家なのでした。