「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.41

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清水先生ならば「正解」を知っているはずです。

何故なら、沢山の「死に方」を観ているから。

何故なら、沢山の「死に方」を聴いているから。

しかし

私の問いかけに、清水先生は答えてはくれません。

清水先生は、他の患者の話を話してはくれないのです。

何故なら、どの患者の「物語」とも、私の「物語」は、

全く違う、別の「物語」だからです。

人は、誰でも、その人だけにしか歩むことの出来ない人生を生きています。

だから、人生は比べることが出来ません。

日本で一番沢山のがん患者の話を聴いている清水先生は、私にそのことを気づかせようとしていました。

そう、人生は比べることが出来ない。

そして、

「私は死んだらどうなるのか?」

という問いかけは、

「そもそもの「私」は何か?」

と問いかけに帰着する。

そんなことに気づかせようとしていました。

そうです。

清水先生は、私を落ち着かせようとしていました。

2016年の私は、とにかく切迫していました。

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