レジリエンス外来.59
稲垣先生の取材を受けるにあたって、金井雄資師は水道橋の宝生能楽堂を取材場所に選んでくれました。
能舞台の構造や能面(おもて)をつけた時に能面の眼=孔(あな)からの狭い視野の中で「何を目印にして舞台に立つか」などを、実際の橋掛かりや能舞台で説明してくれました。
金井さんの上品でいながら快活な、つまり「スター」な姿に、沢山の著名人や成功者を取材してきた稲垣麻由美さんでさえ、その眼がハートの形💓💓になっていました。
「大澤さんが、「お能とは、ズバリ何ですか?」って尋ねた時に、金井さんは「生者と死者との邂逅です」って答えてくれたけど、もっと話をしたいんだ」
私は、私と清水先生とのカウンセリングが、シテである私の物語を、清水先生がワキとして引き出してゆく、という「夢幻能」の構造に似ているという感想を金井さんに説明しました。
「千賀さんの物語を描くにあたって、お能のこと、日本に伝わる独特な「死生観」を教えてください」
稲垣先生の眼は、文筆家の眼に戻っていました。
「千賀のためなら、何でもします」
金井さんはいつものように男前に応えます。
稲垣先生がICレコーダーをオンにしました。